2020.09.14

大坂なおみ、優勝への分岐点は3回戦。
「ひどい振る舞い」から多くを学んだ

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFLO

 だが、第3ゲームでアザレンカは自らのサービスゲームで40-30から3本連続のストロークミスを犯し、大坂が初めてサービスブレークに成功した。大坂にとってはここがこの試合の分岐点となった。

 アザレンカは、第1セットのファーストサーブの確率が94%と驚異的に高かったが、第2セット以降少しずつ落ちていくと、大坂が深く鋭いリターンから攻勢に出られる場面が増えた。

 また、大坂は自分のサービスゲームでは、時速180km台の高速サーブだけに頼らずに、スライスやスピンなどの回転系サーブを駆使しながらストロークへと展開していき、これが功を奏して自分のリズムをつかんでいった。第2セットはミスを、わずか5本に抑えた大坂がセットオールに持ち込んだ。

 ファイナルセットでは、第4ゲームで大坂が先にブレークに成功して3-1とリードを奪ったものの、第5ゲームでは大坂のサービスゲームで0-40のピンチを迎える。

 決勝前に大坂は、優勝へ至るには何よりも自分次第であることを自覚して、こう語っていた。

「2大会(前哨戦とUSオープン)での私の目標は、精神的により強くなること、毎ポイントファイトすることです。正直、誰が相手かは問題ではありません。なぜなら自分自身の心の中へフォーカスするだけだからです。外側に答えを求めることはありません」

 大坂は劣勢に追い込まれていたものの、自分との戦いに勝ち、真骨頂を発揮すると、5ポイントを連取して第5ゲームの難局を乗り切ってみせた。アザレンカは第7ゲームをブレークバックして意地を見せるが、第8ゲームで大坂が再びサービスブレークして勝負の趨勢は決まった。

「本当に勝つことは考えていませんでした。ただ、競うことだけを考えて、最後に何とかトロフィーを手にすることができたのです」