大坂なおみ「プレッシャーを感じていた」。土居美咲に苦しめられたプレーとは? (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Reuters/AFLO

 また、大坂個人としても、いつもの大会と違うことが起きている。ひとつは、体の回復のためにアイスバスを使用するのだが、今回は会場内に作れないため、暫定的な解決策として、ホテルの部屋のバスタブを氷で満たして自作のアイスバスで対応している。

 さらに、前哨戦とUSオープンとの日程の間がほとんどなく、前哨戦で決勝まで勝ち上がった大坂のスケジュールは超過密になってしまったため、フィジカルの回復時間を十分に確保できないままUSオープンへ突入していることなども挙げられる。

 いつもと違う大会のスタイルによるストレスのほか、試合以外でも大坂のメンタル面でも疲れを蓄積させないケアが必要だろう。特に、アメリカ国内で起きている黒人人種差別問題を受けて、"Black Lives Matter"のスローガンに賛同して、抗議のメッセージを発信した大坂には、今まで以上に世界からの注目が集まっている。試合に支障をきたさないようにするために、大坂本人だけでなくチームとともに、オンコートとオフコートのバランスをとってほしい。

 2回戦で大坂は、カミラ・ジョルジ(74位、イタリア)と対戦する。過去に一度だけ対戦したことがあり、2018年東レ パンパシフィックテニス準決勝で戦って大坂が勝っている。ジョルジは、すべてのグランドストロークをハードヒットしてくるような勝気な選手だ。

「ビッグヒッターとプレーをするのは本当に大好きです。すごく楽しみです」と大坂は、ジョルジとの再戦を心待ちにする。

 今の大坂は、多少のアップダウンがあるにしても、心を落ち着かせて、前向きな姿勢を維持できれば、いいプレーができるという自負がある。左足の今後の回復具合は気になるところだが、試合を重ねるごとに調子が上向くのであれば、大坂は、今回のUSオープンで間違いなく優勝候補の1人だ。

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