伊達公子「私に何ができる?」。日本女子テニス界の危機に新たな試み (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by YONEX


 それが、自ら立ち上げたプロジェクトにおける、伊達の指導理念だという。
 
 それら伊達の信念は、今年6月20日、21日に行なわれた第5回キャンプでも存分に発揮されていた。

 選手相手に自らラケットを手にし、ストロークやサーブなどひと通りのウォームアップを終えると、伊達は選手ひとりひとりと長い話し合いの時間を持った。とくに、この時はコロナ自粛明け直後のため、選手個々の状況を把握しておきたかったこともある。

「本人の口から、どんな状況であったのか話してもらいました。(コロナのため)大会もなくなり、目標を立てにくい状況であることも踏まえて、彼女たちがいつ、何を目指していくか見失わないためにも、明確な目標の大会や時期を私と話したほうがいいかと思いました」

 その話し合いの効果と手応えも実感できたと、伊達は言った。

 キャンプ初日に伊達の指導を受けた山上も、「まず目標を決めて、それに対する行動を一緒に考えたりしました。目標は、来年の全日本ジュニア選手権で優勝することです」と明言。

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