伊達公子「私に何ができる?」。日本女子テニス界の危機に新たな試み (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by YONEX


「私自身、『トップ・オブ・トップ』で育ってきた選手ではない。その私に隠れていた才能をコーチたちが見つけ、早い段階で世界で戦えるように引き出してくれた」

 伊達は自らの足跡を、そのように定義する。

 必ずしも幼少期から、トップである必要はない。大切なのは将来を見据え、そこに至るまでのプロセスをおろそかにしないこと......。

 自身の経験に即し、その真理を知る伊達は、今回のプロジェクトの選考会でも過去の戦績や履歴にとらわれることなく、「何か普通じゃない才能、何かしら世界で戦える武器を作れる要素を持っている子」を選んだのだと言った。

テニス歴は4年ながらも、小学1年生時に極真空手国際大会で優勝した山上夏季などは、その好例。

「そのような子どもたちに、自分たちにも可能性があることに気づいてほしい。彼女たちが無駄な寄り道をすることなく、できるだけいい形、いい環境のなかで目標を持って世界で戦えるようにするのが、私にできること。自分の経験を伝えることを第一に考えています」

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