錦織圭、涙の棄権。「マイアミの誓い」は6カ月後、ニューヨークで叶った (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 のちに聞いた話では、試合当日の練習時まで出場を切望する錦織を、当時の帯同トレーナーの中尾公一氏がなんとか説得したという。

「この状態ではジョコビッチに勝つチャンスはない。戦う姿を見せられないのは、お客さんに対しても失礼になる。彼に勝つチャンスは、必ずまた来るから」......と。

 会見で本人が悔恨とともに口にした「今までで一番と言えるくらい、いい一週間だった」の充実感は、次にあげる言葉に根拠があったのだろう。

「すべてがレベルアップしていると思いますが、まずはサーブが以前よりよくなっている。サーブで危機をしのげる点に、大きな違いを感じます。それにストロークでも、大切な場面でエラーを出さないのが、去年より全然よくなっている点です」

 錦織が躍進を果たした2014年という年は、新たにマイケル・チャンをコーチに招き、技術面やプレースタイルでも大きな変革を試み挑んだシーズンだった。

 技術面で大きいのが、サーブの改善。とくに、バウンド後にワイドに切れるスライスサーブに、決定的な進化が見られた。

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