錦織圭、30歳になって心境の変化。「残された時間」に何を思う (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


「スポーツって勝つ楽しみだけじゃなく、負ける悔しさっていうのは2倍3倍バネになるので。あとは、負けながらもいいショットが打てたり、いいポイントが取れたり......その楽しさがあったので、たぶんそれを追求したいと思ったのかな? もっといいプレーをしたいとか、もっと強くなりたいとか」

 錦織家の姉弟が揃ってテニスを始めてから、6年ほど経った冬----。弟は姉を一気に追い抜き、その後は負けることがなかったという。強者を追い、年長者を抜かしていく痛快さは、錦織圭のテニスの原点なのだろう。

 追う対象が年長者だった錦織にとって、時間や年齢はそこまでネガティブに捉える要因ではなかったようだ。

 25歳の頃は「30歳って自分の中では歳というか......いろんな意味でまだ見えないので」と漠然とした不安を抱きながらも、「現実を見ても、フェデラーが強かったり、30歳を過ぎてキャリアハイを迎える選手もいるので」と先達の背を道標にした。

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