大坂なおみ、恥じらいを感じた初クレー。苦手だからこそ見える成長の証 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


「グランドスラムに、第1シードとして挑みたい」と語気を強める彼女は、自身に多くを期待し、全仏オープンに挑んでいた。

 大坂が目指していた高みの正体を多くの人が知るのは、彼女が全仏の3回戦で敗れた時である。

「"年間グランドスラム"を達成したいと、あまりに強く思い詰めてしまっていた。年間グランドスラムは私がずっとずっと、夢見てきたことだから......」

 年間グランドスラムとは、全豪オープン、全仏オープン、ウインブルドン、そして全米オープンの4大大会すべてを1シーズンで制覇すること。女子では過去に3名、プロの参戦が認められた1968年のオープン化以降に限れば、わずか2選手しか達成していない大偉業である。

 そのテニス界最大の栄誉に、1月の全豪オープンを制し挑戦権を持つ大坂は、無垢なまでの志(こころざし)で挑んでいた。

 だが、世界1位として全仏の会場に足を運んだ彼女には、これまで遭遇したことのない包囲網が張られていたという。選手からの警戒心、メディアやファンからの注視、そして自分で自分に与える重圧......。

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