大坂なおみ、恥じらいを感じた初クレー。
苦手だからこそ見える成長の証

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 大坂なおみにとっても欧州の赤土のコートは、18歳になるまで足を踏み入れたことのない未知の戦場だった。

 もし彼女が10代半ばからジュニアサーキットを転戦していれば、全仏オープンジュニアなどに出場し、もっと早い段階で赤土に立っていた可能性もあっただろう。ジュニアのプロセスを踏まず、14歳からプロとして戦ってきたがために赤土デビューがWTAツアー大会、というあたりに彼女のスケール感が投影されもする。

 いずれにしても、大坂のレッドクレー初経験は4年前の今頃であり、18歳の彼女は自信を胸に褐色のコートへと向かっていった。

 たしかにレッドクレーの経験こそないが、彼女が育ったフロリダには"グリーンクレー"と呼ばれるコートがあり、そこでは幾度もプレーしている。だから彼女は「私、レッドクレーも得意だと思うの」と、渡欧前には不敵な笑顔すら見せていた。

 その2カ月後----。彼女は気恥ずかしさのにじむ笑みとともに、冒頭の言葉をこぼす。

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