大坂なおみが歓喜を爆発させない理由。目指すはレジェンドよりレガシー (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 昨年末、彼女は自身が目指す理想像を、女王でもレジェンドでもなく「レガシー」だと定めた。

「この競技の位置づけを変えるような存在」

 それが、彼女が掲げるレガシーの定義。

 この1年で浴びてきた全方位からの注視と、それに伴う重圧やストレスも、すべては「レガシー」という究極の目的地の前では"通過儀礼"にすぎないだろう。

 勝利し、喜びを爆発させる彼女の姿を、まだ見たことはないように思う。

 それは16歳の時と同様に、彼女がいまだ「私のベストは、もっと先にある」と信じているからに他ならない。

 彼女が飛び跳ね、泣き叫ぶほどに歓喜の情を表出する時、テニスという競技の歴史に「新たなレガシー」が誕生する。

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