ダニエル太郎流、コロナ禍への対処法。
目指すテニスを求め追い込む日々

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 自分でトレーニングしているけれど、いつツアーが再開するかわからないなかでは、『テニスのためにトレーニングしている』と考えちゃうと、モチベーションが上がらない。なので今は、アスリートとしてフィットしようと考えています。基本的な体力、ストレングス、持久力のキャパシティを上げていくことを目標にすれば、がんばれるので」

 目的意識や動機づけを見つける困難さは、今、すべてのアスリートが共有する心の空洞だろう。NTCで練習する選手たちにも、長期戦を覚悟し腰を据える者と、先行きが見えぬ今だからこそ、できる限りのことをやっておこうと追い込むタイプに大別されるようだ。

「そのどちらも正解で、間違いはない」と言うダニエルは、自身は後者のタイプに属すという。「みんなにも『なんで今、そんなにガンガンやっているの?』って聞かれます」と照れ笑いをこぼすが、それが彼の「正解」だ。

 ダニエルが今、「できる限りのことをやっておきたい」と思う訳は、身体が習得しつつあった「目指すテニス」の感触を失いたくない、との思いからかもしれない。

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