テニスのトップ選手のリアルな声。コロナ禍で「どう気持ちを維持すれば...」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


「ならば帰国するにしても、まずはメキシコの大会に出てからにしようか......」

そのようなプランを思い描いた矢先に、状況はさらに加速度的に変化する。

 WHO(世界保健機関)が「パンデミック(世界的大流行)」宣言を出したのに伴い、米国は海外渡航者の規制を強化。それに前後し、マイアミやメキシコも含む多くの大会の中止が発表された。

 この段に至っては、一刻も早く帰国するのが懸命だろう。未消化の心と不完全燃焼の身体を抱えたまま、土居は日本行きの便に乗った。

「あの頃は、落ち着かなかったですよね......。いつまで大会がないのか? 当初は『ツアーは6週間中断』だと言われ、それでも長いなと感じていたので。でも、ヨーロッパの状況はどんどん悪くなっているし、再開がいつかわからないので、どう調整したらいいのかわからなかったです」

 テニスが他のプロ競技と比べて独特なのは、オフシーズンがほとんどない点にあるだろう。

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