「自分で作っちゃおう」。内山靖崇は批判も承知でテニス大会を創設した (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文・撮影 text & photo by Uchida Akatsuki


 影響力や発言力もある時に、大きなアクションを起こす......。それこそが大会設立の第一の狙いであり、さらには世界のテニス界の趨勢(すうせい)でもある。

 内山が自ら大会を立ち上げ、トーナメントディレクターを務めるとの着想を得たのも、そのような世界のトレンドにあった。

 2017年に、当時まだ現役だった元世界2位のトミー・ハース(ドイツ)が、「第5のグランドスラム」と呼ばれるBNPパリバ・オープンのトーナメントディレクターに38歳で就任する。その2年後には、やはりまだ第一線で活躍するフェリシアーノ・ロペス(スペイン)が、グランドスラムに継ぐ格付けの大会であるマドリード・オープンのトーナメントディレクターの職に就いた。

 さらに大きかったのは、昨年トップ50位のジェレミー・シャルディー(フランス)が、出身地であるフランスのポーという地方都市にATPチャレンジャーをゼロから作り上げたことである。

 チャレンジャーはツアーの下部大会に属し、トップ100に入るための登竜門的な位置づけ。年齢も比較的近い選手がそのようなアクションを起こしたことで、内山のなかのバリアもひとつ解除された。

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