大坂なおみが「不思議な感じ」で試合中に笑み。全豪で完璧なスタート (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 前年優勝者に第1セットをあっさり奪われたブズコワだが、闘志が減退する気配はない。第2セットも打つごとに声を上げ、ポイントを取るたびにガッツポ―ズで己を鼓舞する。

 対する大坂は、風が強まるなか、ややタイミングが取りにくかったか、第6ゲームではフォアの打球を大きくふかしてブレークを許した。

 この場面で大坂は、「相手はまだ、試合をあきらめていない。2セットで試合を終わらせなければ」と自分に言い聞かせる。

 はたして集中力を高め、リターンで攻めて即座にブレークバックすると、そこからは4ゲーム連取の電車道。終わってみれば6-2、6-4、試合時間1時間20分で危なげなく勝利を手にした。

 試合中に笑みもこぼした訳を、そして終始冷静だった理由を、彼女は「不思議な感じではあるけれど、とてもハッピーで、『タイトルを守らなくては』と感じてはいない」と明かす。

 同時にそれは、矛盾するようだが「初戦では完璧なプレーはできない」「どの試合も難しいものになる」という、ある種の諦観に根ざす境地でもあるようだ。

 大切なのは「試合を重ねるごとにレベルを上げ、心地よくプレーできるようになること」。そして、そのような思考法こそが、彼女が世界1位や前年優勝者という地位に身を置いたこの1年間で学んだ「最大の教訓」だという。

 なお、2回戦で対戦するのは、試合巧者の鄭賽賽(ジェン・サイサイ)。「トリッキーな選手」と警戒するその相手には、「安定したプレーで試合を支配し、フラストレーションがたまるような瞬間があっても、いかにポジティブな精神状態を保てるか」がカギだと分析した。

 ディフェンディング・チャンピオンとして挑むグランドスラムを、彼女は登山にたとえ、「初めての時は、それがどれくらい険しい道のりか、わからない。でも、一度辿った道は、その厳しさもわかっている」と言った。

 初戦では緊張すること、対戦相手が攻撃的に向かってくること――。

 それらを踏まえ、パーフェクトでない自分を受け入れたうえでのストレート勝利は、パーフェクトなスタートだと言える。

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