松岡修造が期待する復帰後の錦織圭。「ゆとり」から生まれる新しいテニス (3ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • 佐野 隆●写真 photo by Sano Takashi

 西岡のテニスについては、ユーチューバーであるという側面も含めてみんなを魅了するテニスと評して、次のように語った。

「彼は自分のテニスを確立しました。まずひとつは、身長が170cmくらいでも通用するんだと。そしてもうひとつは、(劣勢に見えていても)最終的に攻撃しているのは西岡だとわかったときに、見ている人はテニスが面白いと思う。彼は、相手に対して1球1球ワナを張っているんです。だから、相手がミスしたときには、僕はただ"相手がミスしました"とは解説しません。"ミスさせられました"って。例えば、僕の相手が西岡だったらイヤですよ。(エースが)決まりそうで決まらない。しかも、打ってほしくないボールが戻ってくるわけです。さらにそれが、毎回チェンジしている。回転もスピードも場所も。彼のテニスの面白さが全豪でたくさんの人に伝わればいいなと思います」

 全豪での車いすテニスには、国枝慎吾(ITF車いすテニス男子ランキング2位)と上地結衣(ITF車いすテニス女子ランキング2位)が出場する。

 そして、その戦いの先には、車いすテニス選手にとって最大のイベントである東京パラリンピックがある。地元日本で、国枝も上地も、今までに体験したことのないような光景を、パラリンピックで使用される有明コロシアムで目にすることができるのではないかと松岡は予見する。

「国枝さんと上地さんは、"すべては東京です"という思いに近いのでは。今までのパラリンピックやグランドスラムでは感じたことのない声援、満員になるだろう会場の中でプレーをする雰囲気、その中で車いすテニスを体感するというのが、国枝さんと上地さんにとっては、もう、ひとつの金メダルなのかもしれません。車いすテニスをやって来てよかったって」

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