「自分の調子が悪い?」大坂なおみは「混乱の種」にどう対処したのか

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 過去の2試合同様に、シーズン開幕3試合目もフルセットの熱戦となった。

 ただ、ブリスベン国際3回戦のキキ・ベルテンス(オランダ)戦は、その内容を構成する成分が過去2試合のそれとは異なっていただろう。

大坂なおみはフルセットの末に準決勝進出を決めた大坂なおみはフルセットの末に準決勝進出を決めた それまでの2試合は、勝敗のカギは彼女の手の中にあり、大坂なおみにしてみれば、いかに自分のプレーを遂行するかの戦いだった。

 だが、高い守備力と強打を誇るベルテンスは、一筋縄ではもちろんいかない。戦うなかで相手のプレーに対応し、策を見出すことにも長けたベテランでもある。拮抗する実力者同士の戦いは、どちらが戦況を正しく理解し、小さなターニングポイントを掴み取るかの勝負であった。

 この試合が接戦になることは、大坂の想定内でもあっただろう。だからこそ、試合立ち上がりの彼女は「昨日とは対象的に、とてもよかった」と自画自賛のプレーを披露した。

 ベルテンスのバックサイドの守備が固いことを考慮してか、バックハンドのダウンザラインや逆クロスを多用して、次々にウイナーを奪っていく。第1セットは6−3で大坂の手に。昨年の全豪オープン優勝者の、強く迷いなき姿だった。

 だが、結果から先に言うと、第2セットは3−6でベルテンスの手に渡る。2回戦で18本のサービスエースを奪った大坂だが、この日はなかなかサーブでポイントを奪えない。対するベルテンスはサーブの精度を上げ、大坂にブレークのチャンスを与えてはくれなかった。

 この失った第2セットで、大坂の心には、ひとつの問いが重く伸しかかっていたという。

 自分のプレーが悪いのか? それとも、相手がレベルを上げてきたのか......?

 悩みながらも、この疑念そのものが混乱の種であることを知る彼女は、「なんとか割り切らなくては......」と思う。そして解を得るために、彼女はオンコートコーチングを要求した。

 果たして、大坂の問い対するコーチの返答は、「彼女のプレーがよくなっている」というもの。その事実を認めた時、彼女は精神的に落ち着きを取り戻し、ひとつの方向性を見定めることができたようだ。

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