ジョコビッチ擁するセルビアに完敗。予選敗退も日本が得たモノは大きい

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

「シングルス1に関しては、ノバク・ジョコビッチで間違いないと誰もが思っているでしょう。では、シングルス2の相手としては、誰を予想していますか?」

 日本が開幕戦のフランス戦を終えたあとの、記者会見の席でのこと。次の対戦国であるセルビア人の記者が日本チームの岩渕聡監督に向けて、そのような質問を投げかけた。

西岡良仁は健闘するもジョコビッチには歯が立たず西岡良仁は健闘するもジョコビッチには歯が立たず 119年の歴史を誇るテニスの国別対抗戦「デビスカップ」は今季、大きな変革の時を迎えていた。

 従来は対戦国のいずれかを開催地とし、世界各地でシーズンを通して行なわれていたが、今季から18カ国が1都市に集結する、いわゆる"ワールドカップ型"フォーマットを採用。これに伴い、それまで最大5試合で決していた対戦国間の勝敗も、シングルス2試合、ダブルス1試合による短期決戦へと変更された。

 この未知なる新方式のデビスカップで、日本は前年優勝国のフランスと、ノバク・ジョコビッチ擁するセルビアと同グループに組み込まれる。その初戦でフランスに惜敗した日本は、翌日のセルビア戦に勝たなければ決勝トーナメントへの道が絶たれる状況に立たされていた。

 対するセルビアは、対日本が開幕戦。そして冒頭の記者の質問が意図するところは、5人の代表選手の誰がセルビアのシングルス2だと、日本の監督が予測しているか......という点だった。それは換言すれば、ジョコビッチ以外の選手の力は拮抗しており、オーダーを予想するのは自国の記者でも困難だったということだ。

 そしてそれは5選手のうち、ダブルス・スペシャリストのマクラクラン勉を除く4名がシングルス・ランキングで伯仲する日本にしても同様である。

 フランス戦では、73位の西岡良仁がシングルス1に、81位の内山靖崇がシングルス2とダブルスに出場したが、3番手の杉田祐一(104位)とダニエル太郎(111位)も実績的には前述の2選手と遜色ない。つまりは、誰が起用されるかはその日の体調や調子、そして対戦相手との相性が大きく影響すると見られていた。

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