錦織圭ぬきでも日本は大きな収穫。
デビスカップで善戦、強さを見せた

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

「ニコラとピエールのことを誇りに思う。ロンドンから着いたばかりで簡単なことではなかったけど、すべてを出し切ってくれた」

 実は、エルベール/マユ組は、日本対フランス戦のわずか2日前に、ATPファイナルズの決勝を戦って初優勝を成し遂げていたため、ロンドンからマドリードへ移動してきたばかりだった。

 一方、今持てる力を単複で出し切った内山は、ベンチで首を垂れてしばらく動くことができなかった。それを並んで座っていた岩渕監督とマクラクランが気遣う場面もあった。

「よっしー(西岡)が勝って、シングルスの負けを挽回できるチャンスをもらえた中で、何とか取り返したい気持ちだった。もちろん相手も強いので簡単じゃないのはわかっていたんですけど、本当に紙一重のところまでいって勝ちきれなかった自分の不甲斐なさ、自分が2敗してしまった申し訳なさ、試合が終わった後に悔しさが込み上げた」(内山)

 これまで日本は、フランスに5戦全敗していたが、今回初勝利まであと一歩届かなかった。だが、岩渕監督には、日本がフランスにただ善戦するだけで終わらないという手ごたえがあった。

「このグループで日本がチャレンジャーになるのは間違いなかった。チームの中では、ただ挑戦をして全力を出して、それで満足ということではなかった。今のメンバーは、今シーズンいい成績を残して、トップの選手にも勝った実績もあるので、今日みたいな展開に持ち込める予想は、ある程度期待も含めてできていました」

 負けはしたものの、日本チームの進化は確実に見られた。ましてや日本のエースである錦織圭抜きで収穫があったのは大きい。各選手によるツアー個人戦での活躍があってのことで、西岡の勝利はその典型だった。マクラクランは、ダブルスのスペシャリストとしてツアーに定着して活躍している力を存分に発揮していた。

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