チチパス優勝で世代交代は加速する。錦織圭は来季復活なるか正念場だ (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 一方で、"ビッグ3"を追いかけてきた選手たちは、その背中をすでに射程にとらえ始めており、その兆候は、このファイナルズでも見られた。

 今回3人の選手が初出場を果たし、さらに2009年大会以来出場選手8人のうち、24歳以下の選手が4人というフレッシュな顔ぶれとなった。その中で、ナダルとジョコビッチはラウンドロビン(総当たり戦)で姿を消し、準決勝へ進出できなかった。

 2019年ファイナルズでナダルに初めて勝った22歳のアレクサンドラ・ズベレフ(7位、ドイツ)は、これで"ビッグ3"全員に一度は勝ったことになる。

「ファイナルズの舞台で、"ビッグ3"全員に勝つことができました。自分がすごくいいプレーをできれば、トップ選手たちを倒せることを見せることができている」

 また、今回のファイナルズで、フェデラーとジョコビッチを連破した26歳のティームも自信を深めたひとりだ。

「"ビッグ3"のうちの2人を立て続けに破ったのは初めてだと思うし、大きな自信を自分にもたらしてくれる」

 そして、ファイナルズで16回目の準決勝進出を果たしたフェデラーを、チチパスが若武者らしい躍動するテニスで破ったことは、時代の移り変わりを象徴するシーンとなった。

 一方、新世代の下剋上が激しさを増す中、錦織圭は、ファイナルズへ2年連続5回目の出場を果たせず、世界のトップ10から陥落し、2019年シーズンを13位で終えた。

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