大坂なおみはさらに加速して疾走。勢いそのままにWTAファイナルズへ (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 生誕地から始まったこの加速的な疾走を、さらに後押しするかのようなニュースが10月中旬に報じられた。22歳の誕生日を目前に控え、大坂が正式に日本国籍選択のための手続きに入ったというのだ。

 今回の選択と動きが、来夏開催される東京オリンピックに向けての決断であることは明白だろう。大坂は15歳時に初めて有明コロシアムでプレーした時から、「ここが私のホームコート!」と言うほどに、"日本テニスの聖地"に心地よさを覚えていたと言う。

 それから6年――。今や2度のグランドスラムタイトルを携える彼女は、金メダル候補として、オリンピックへと向かうこととなる。

 かくして、種々の運命的な符号に彩られた連勝街道を走る大坂が、いよいよ迎える今季最後の戦いが、10月27日に中国・深センで開幕するWTAファイナルズだ。1年の掉尾を飾るこの大会は、年間レース上位8選手のみが参戦を許される、まさに頂上決戦の舞台。

 前述したバーティにアンドレースク、ウインブルドン優勝者のシモナ・ハレプ(ルーマニア)や、今季大坂が3度戦っていずれも敗れたベリンダ・ベンチッチ(スイス)らも顔を揃える。なお、大坂にとってWTAファイナルズ参戦は、昨年に続きこれが2度目。バーティやアンドレースク、それに大坂と同期のベンチッチは初出場で、参戦8選手すべてが20代というフレッシュな顔ぶれでもある。

 世代交代と新女王誕生の予兆が見られては、そのたびに再び地殻変動が起こるという混沌の時代が長く続いた女子テニス界。だが、いよいよ本格的な新時代が到来し、新たな女王やライバル関係確立の機運が高まっている。今回のWTAファイナルズは総額1400万ドル(約15億2000万円)という破格の賞金もあいまって、かつてないほどの期待と熱のこもった目が向けられる最終決戦となった。

 そして、それら熱視線の中心にいるのが、10連勝の勢いそのままに深センに駆け込む大坂なおみであるのは間違いない。

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