錦織圭、奇数年の呪縛に自身も驚き。
今、欲しいのは「やっぱり自信」

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 1回戦は体調がよく、右ひじにサポーターをすることもなく、フォアのウィナー7本を含む14本のウィナーを決め、開幕前にあった不安要素によるプレーへの悪影響は幸いにもなかった。

 今回USオープンの出場は10回目になる錦織だが、実は2008年にUSオープンに初出場してから、"奇数年に結果を残せない"という不思議な記録を残してきた。

 09年と17年は、けがで不出場。11年と13年と15年は、いずれも1回戦負け。つまり、奇数年のUSオープンでは、19年大会で初めて1回戦を突破したということになる。

 もちろん記録に関心のない錦織が知る由もなく、人から伝えられて「本当ですか(笑)」と目を丸くした。

 奇数年の呪縛などまったく意に介していない錦織だが、今夏のUSオープン前哨戦の成績が悪かったことからもポジティブな側面を見つけようとしている。18年も、夏の前哨戦では振るわなかったが、USオープンではベスト4に進出して大きな結果を残した。そのポジティブな経験を、今年の戦いにも活かそうとするのは、錦織流のサバイバル術だ。

「昨年の方が調子は悪かった。昨年と同じような入り方なので、今年も大丈夫かな。自信こそ、そこまでなかったですけど、気楽に1試合目に入れた。もちろん緊張感はありました」

 そして、今一番必要なものが何かを錦織は理解している。

「今、一番欲しいのはやっぱり自信」

 確固たる自信は、今後ラウンドを重ねて強敵に勝つことで、再びついてくるだろう。

 2回戦では、ブラッドリー・クラン(108位、アメリカ)との初対戦が決まった。試合は大会3日目の8月28日に行なわれる予定だ。

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