フェデラーに敗れたが、錦織圭のメンタルとテニスは安定してきている (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

「試合の流れが僕に傾き始めた」とフェデラーが自信を深める一方で、錦織は、フェデラーのサーブを攻略する糸口を見つけられなくなった。「(自分の)リターンゲームで、ほぼチャンスがなかったので、2セット目以降は苦しかったです。セカンドサーブに対してもタイミングが合わなかった。先にブレークできそうという光が、2セット目以降は見えなかった」

 第2セットと第4セットで錦織は、ブレークポイントを1ポイントも奪うことができず、第3セット第10ゲーム30-40の場面で、錦織にブレークバックのチャンスが唯一訪れたが、フェデラーが時速196kmのファーストサーブを入れ、錦織はバックのリターンミス。第2セット以降、錦織は一度もフェデラーのサービスをブレークできなかった。

 また、錦織は、ファーストサーブの確率が、第1セットが55%、第2セットは73%、第3セット56%、第4セット55%と第2セットを除いて低かった。「ほぼ、どの(サービス)ゲームもプレッシャーを感じながらやっていたので、(自分の)リターンゲームに気持ちが入っていけなかった」と、自分のサービスゲームでのメンタルとフィジカルのダメージから、本来得意なはずのリターンにも悪影響を及ぼす負のスパイラルに入り込んでしまっていた。

 錦織は、第1セットにできていた、いいプレーを続けられなかったことを悔やんだ。そこをフェデラーは見逃さず、第2セット以降ギアを上げて錦織を確実に追い詰めていった。

「(自分の力を)出し切りましけど......。やっぱり自分のプレーが継続できなかったので、2セット目以降は確実に相手(フェデラー)が強くなりました。ちょっと焦ってしまった。アンフォースドエラーが後半多かったかなと思う。それ(自分のミスの多さ)も彼のプレーのよさから来るプレッシャーだった。そこは彼の強さに負けた部分なのかなと思います」

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