ウインブルドンで旋風を巻き起こした15歳。コリ・ガウフとは何者か? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「ウィリアムズ姉妹がいなければ、今の私はいなかった」

 大坂なおみもしばしば口にするこのフレーズは、大坂より6歳若いガウフが語る、彼女の原点でもある。

 幼少期から外見的特徴が似ていることもあり、彼女はビーナスと比較されてきた。プレースタイルも当然のように酷似して、とくにバックハンドを打つ後ろ姿は、ビーナスと見間違うほどだ。

 そんな彼女は10歳の時、セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)のコーチが経営する、フランスの「パトリック・ムラトグルー・テニスアカデミー」の入学トライアウトを受けた。

「僕が今でも、よく覚えているのが......」と、ムラトグルーが当時を述懐する。

「彼女の覚悟と高いアスリート能力、そしてファイティングスピリッツだった。彼女が『私は世界1位になる』と言った時、その言葉を信じることができた」

 それから5年後。15歳で初めてグランドスラム本戦に出場したガウフは、初戦でビーナスと対戦する。

「ココにとってはもちろん、ビーナスにとっても、すばらしい対戦になると思う。だって、私はココを見るたび、ビーナスみたいって思っていたんだから」

 ビーナスの妹のセリーナも、ふたりの運命的な対戦に感慨深気な笑みを広げた。

 39歳の大会最年長者と、15歳の最年少者の注目カードは、会場で2番目に大きいナンバー1コートの最終試合に組まれる。この地で過去5度の優勝を誇る、ビーナスに向けるファンの敬意は絶大だ。同時にガウフに対しても、同等の声援が期待として向けられた。

 1万5千人に迫る観客が暖かな視線と拍手を送るそのコートで、15歳は臆することなく、自らの「アイドル」に立ち向かう。第1セットの第5ゲームでは、快足を飛ばしてビーナスのドロップショットをロブで切り返すという、高いアスリート能力と判断力を示してみせた。さらには、ビーナスの時速190キロ超えのサーブを鋭く切り返し、このゲームをブレークする。

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