錦織圭が400勝後に語った恩人への思い
「僕を超える選手が出てほしい」

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by ko Hitoshi

試合後コートの両サイドにいる子供たちに笑顔でサインした錦織圭試合後コートの両サイドにいる子供たちに笑顔でサインした錦織圭 ウインブルドン3回戦で、第8シードの錦織圭(ATPランキング7位、7月1日づけ/以下同)が、スティーブ・ジョンソン(71位、アメリカ)を、6-4、6-3、6-2で破り、4回目のベスト16進出を決めた。

 錦織は、第1セット第2ゲームでサービスブレークをされて、0-3とジョンソンにリードを許したものの、第5ゲームでブレークバックすると、そこから錦織が常にゲームを支配していった。

「サーブはよかったですね。たぶん今日が一番よかったんじゃないかなというぐらい気持ちよく打てた。ファーストサーブを打っている感触が、今週すごくいい。劣勢の時にも、ファーストサーブを決めにいくことができた」

 試合全体で錦織のファーストサーブの成功確率は75%と高く、さらにファーストサーブ時のポイント獲得率も85%で、サービスゲームは非常に安定していた。

「同時に、リターンゲームでプレッシャーをかけられたかなと思う。それがサーブもちょっとリラックスして打てたひとつの要因になっていた。たぶんあっち(ジョンソン)からすれば、サービスゲームはきつかったんじゃないかな」

 こう語った錦織の第2セット以降は、ジョンソンのサービスコースを巧みに読み、特にセカンドサーブに対しては、ベースラインからコートの中へステップインして、早いタイミングで攻撃的なリターンを打ち込んだ。

 結局、錦織はミスを20本に抑えつつ、23本のウィナーを決めた。さらにサーブ&ボレーに7回出て6回成功させるなど、ネットには23回出て20回ポイント(87%)につなげる驚異的な成功率を残し、ストロークだけではない錦織のオールラウンドプレーが、常にジョンソンを上回った。

 今回の勝利によって、錦織はツアー本戦通算が400勝に達した(400勝186敗)。2007年7月のATPインディアナポリス大会(アメリカ)で予選を勝ち上がり、本戦1回戦で初勝利を挙げてから、プロ12年目で到達した日本男子前人未到の記録だ。

 基本的に錦織は、記録や数字にこだわりがなく、試合後に400勝に関して特別な感情を見せていなかったが、恩人である盛田正明氏のことに話が及ぶと、勝利することの喜びについてこう話した。

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