錦織圭、苦手な芝のウインブルドンはぶっつけ本番。でも大丈夫な理由 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 そして準々決勝では、順当であれば第2シードのロジャー・フェデラー(3位、スイス)と当たることになり、錦織の3勝7敗。37歳のフェデラーは、ウインブルドンで男子史上最多の8回の優勝を誇り、グラスを得意としている。グラスでの錦織との対戦は、2014年ATPゲリー・ウェバー・オープン準決勝で、フェデラーがストレートで勝っている。直近の対戦では、2018年のATPファイナルズで、こちらは錦織がストレートで勝った。

 ツアーでは屈指のフットワークのよさを武器にしている錦織だが、グラスではより多くのストップ&ゴーがあるため、足を使うことに難しさを感じている部分があった。

 そのため錦織には、ハードコートやクレーコートと比べ、グラスコートへの苦手意識があった。だが、昨年のウインブルドンでベスト8に初めて進出できたことで、その意識にも変化が生じてきている。

「嫌いというイメージは、もうまったくなくなりましたね。(グラスでは)動けないというか、動きづらさがやっぱりあるので、そのやりにくさが他のコートと比べると若干ありました。(グラスではバウンドしてから)ボールが伸びたり、ウイナーが取りやすかったり、力だけでなく、駆け引きというか、頭の勝負だったりするので、そういうところが芝は面白いかなと思います」(錦織)

 ボッティーニコーチは、錦織のグラスでの順調な仕上がりを見ても、先を見過ぎないで、いつもどおりの落ち着いた姿勢で錦織のサポートをする。

「たしかに圭への期待は高いですし、楽しみにしています。でも、どの大会でも同じように、一試合一試合が勝負です。もちろん昨年よりさらに良い成績が残せたらいいですね」

 錦織の1回戦は、大会2日目の7月2日に行なわれる予定だ。果たして、グラスでの苦手意識を払拭した"ニュー錦織圭"が、テニスの聖地でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

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