大坂なおみは東京五輪に出場できるか。日本女子テニスの新たな問題 (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

「チームのスケジュールと考え方を、我々も選手とともに考えながら交渉しますし、(大坂に)出てもらいたいという気持ちはあります。(大坂の)オリンピックの出場権というのも正直かかっている。これからもいいサポートといいコミュニケーションを取りながら進めていければ」

 だが、大坂にかかりきりになることで、引き起こされる別の問題もある。日本代表の一部の選手からは、「全然(他の)選手のことは考えてもらえていない」という不満の声があがった。

 もちろん大坂の実績は評価されるべきで、大坂は日本代表にとって重要な戦力だが、他の代表選手がいなければチームとして成立しないこともまた事実である。

 これまで、シングルスでのグランドスラムチャンピオンを輩出できなかった日本にとっては、大坂の処遇をどうすべきか手探りの部分があるのかもしれないが、大坂の召集を優先するあまり、ほかの選手への代表内示の連絡が遅くなり、あまりにもギリギリになることもある。そのため、選手たちが個人戦のスケジュールを決められないという事態も生じている。

 選手は毎週厳しい戦いをして、ワールドツアーの個人戦で成績を残せなければ、キャリアの死活問題に直結する。そのことをもっと考慮すべきであり、選手たちそれぞれと良好な関係を築いていけるように、日本チームと土橋監督はさらにコミュニケーションをとる必要があるだろう。

 日本は、2020年もWGIIで戦える権利を手にした。現在の日本は、WGでプレーできる力をたしかに持っているが、WGでさらに勝ち上がっていくとなると、大坂と他の選手との実力差を少しでも縮めながら個々の力を引き上げることが必要不可欠であり、そこからチーム全体のレベルアップにつなげていかなければならない。

 そこで、大坂も含めた日本代表チームがどう進化を遂げることができるのか。東京五輪へ向けても注目したい。

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