錦織圭が戦法変更もリベンジ失敗。「全部よかった」はずが勝利を逃す (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 高速サーブと強打の印象が強いフルカチュだが、フットワークも軽快で、球際の強さと長い手足はディフェンスにも大いに生きる。第2セット第9ゲームでは錦織が2本のブレークポイントを掴むが、この局面でフルカチュはエース級のサーブを連ねてきた。

 その直後のゲームでは、ラリー戦で錦織のミスがかさむ。第2セットの総獲得ポイント数は、錦織が「26」で、フルカチュが「28」。2本の差が、そのままセットの行方を決した。

 第3セットは、錦織が最初のゲームをブレークする好スタートを切るが、続くゲームでは、錦織のボールがラインを割る場面が目立つ。

 以前より、ボールが飛びすぎるこの大会の環境に悩まされてきた錦織は、苦手意識もあったか、ネガティブなしぐさも増えていく。ゲームカウント2-3のサービスゲームでは、ダブルフォルトを2本重ねて、敗戦へと大きく傾くブレークを許した。

 もっとも、相手にサービスゲームをキープされれば敗れるという状況は、錦織は今大会の2回戦でも経験している。その時は、プレッシャーを感じた相手がダブルフォルトなどのミスをしたため、助けられた側面もあった。

 しかし、今回の相手がその時と違ったのは、わずか2週間前、錦織との接戦の末に勝った実績と自信があったこと。

「あの勝利は大きな助けになっていた。最後のゲームでは、最初のポイントが重要だと思っていた」

 その「重要」なポイントを、錦織はフレームショットで与えてしまう。最後は、バックのスライスの打ち合いから、勝負に出た錦織のフォアがラインを割った。

「自分のサーブは悪くなかったですが、ファイナルセットのダブルフォルトだったり、大事なところでミスが出てしまった。大事なところで攻められたり、取り切れなかったりというのが、(試合を勝利で幕を)閉めきれなかった部分だと思います」

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