2019.03.08

記者の質問に「Very good!」と即答。
錦織圭が練習で楽しそうな理由

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 もちろん、ドバイでの2回戦敗退は望んだ結果ではなかったろう。だが、「しっかり、ここの会場にアジャストしないといけない」と感じている大会に適応する時間が取れたという意味では、プラスの側面もあるはずだ。

 そのインディアンウェルズ会場での錦織は、実戦さながらの激しい練習のさなかにも、時折股抜きショットを披露するなど楽しそうな様子も見せている。思えばここ最近、錦織が「楽しそうにしている」というのは、日本人選手や関係者たちからよく聞く声だ。

 では、錦織本人に、そのような自覚はあるだろうか?

 その問いに対して彼は、照れたような笑みをこぼしながらも、穏やかながら真摯な心情を顔に浮かべて、こう答えた。

「やっぱり(右手首の)ケガがあり、そのケガから帰ってきてから何が一番幸せって、痛みがない時にいいテニスができていることです。痛みがないっていうのが一番うれしいですね。復帰してからも手首は痛かったし、そこと戦ってきたところもあるので。

 痛みなくちゃんとテニスができて、調子もよかったら、けっこうそれだけでうれしかったりする。ケガをするまでもそうでしたが、今まで以上にうれしいなというのは、ケガしてからとくに感じていることです」

 痛みなく、テニスができる。自分のやりたいプレーを、身体への不安なくコート上に描くことができる――。純粋で無垢なその喜びこそが、傍目にも「楽しそう」と映る、錦織圭のテニスの熱源だろう。

 インディアンウェルズ入りした錦織が、現在の体調を問われた際に「Very good」と答えたことは、前述したとおりである。

 では、「Goodと、Very goodの違いとは何か?」。

 そう問われた彼は、少し思案を巡らせた後、探した答えが見つかった喜びに顔を綻ばせて断言した。

「"Good"は90%、"Very good"は、100%!」

 100%の心身の充実度で、錦織は10度目となるインディアンウェルズ・マスターズへと挑む。

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