大坂なおみの決断に元世界1位の見解は。コーチ変更は珍しくない? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 その問いに対しては、ほとんどの選手が、「自分にあったコーチを見つけるのは、とても難しい」と声を揃えた。

 今季開幕直前に新コーチを見つけたケルバーは、昨年10月にコーチ解任を決めた際、その理由を「今後の方向性に対する、意見の不一致」と発表した。

「私は長年、同じコーチに師事していたので、新しいコーチを見つけるのが難しい。それでもいいコーチはたくさんいるのだから、直接会って話をし、そして決めていくしかない」というのが、現世界6位の見解である。

 今季をコーチ不在で迎え、今回のカタール・オープン直前に新コーチを雇ったハレプは、「私の場合は、前のコーチが家族との時間を大切にしたいからという理由でやめた。今回のなおみとは状況が違うと思う」と前置きしたうえで、コーチと選手の関係性について、次のように言及した。

「コーチは、自分のことをよく理解し、上手に付き合える人であることが大切。でも、そのような人は、簡単には見つからないものでしょう? コーチというのは、あらゆる困難に直面した時に、それをともに解決していく相手であり、チームでもっとも重要な人物。相性も大切なので、なおのこと適任者を見つけるのは難しい」

 さらには、たとえ世界の頂点に上り詰めようとも、長いツアーを転戦するうえで、「コーチは絶対に必要。第三者のサポートや客観的視点なしで、戦っていくのは不可能」だと断言する。

 なお、ハレプが新たに雇ったコーチは、今年の全豪オープンまで男子のダビド・ゴファン(ベルギー)に帯同し、彼を世界の7位に引き上げた手腕の持ち主。ハレプはそのコーチに白羽の矢を立てた理由を、「私はゴファンの、どんどんコートの中に入っていくプレーが好きだったから」と説明した。

 その新コーチとのタッグで挑んだ最初のトーナメントで、ハレプは決勝まで勝ち上がった。開幕の前日までフェドカップ(女子国別対抗戦)を戦っていたルーマニアのエースは、カタールでも熱狂的なファンの声援を浴び、まめを潰しソックスを血で染めながらも精力的にコートを走り回り、準決勝では最終セット1−4からの逆転勝利も掴み取っている。

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