全豪制覇の大坂なおみ。昨季と比べてもっとも進化した点は? (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by koHitoshi

 クビトバは、第1セットに5回ブレークポイントを握るもののいずれも取れず、お互いすべてのサービスキープをしてタイブレークの結果、大坂が3回目のセットポイントを取って第1セットを先取した。

 決勝まで1セットも落とさずに、しかも28ゲーム取られただけで勝ち上がってクビトバは、第2セットでは、リターンを積極的に打って巻き返しを図る。

 それでも、大坂が第3、5ゲームをブレークして5-3としたが、第9ゲームではクビトバのサービスゲームで3回のマッチポイントを握る。しかしここで試合を決めることができず、続く第10ゲームは自分のサービスもキープできなかった。第9ゲームから4ゲーム連取で第2セットはクビトバが奪い返した。

 ファイナルセットでは、第3ゲームで大坂のベースラインの内側に入って打つバックハンドのリターンが冴え渡り40-30からブレークに成功。第10ゲームで大坂の5回目のマッチポイントでは、大坂の時速183kmのサーブに対して、クビトバのフォアリターンがサイドアウト。2時間27分の激戦を制して初優勝した大坂は、力を出し切ったかのようにしゃがみこんだ。

 大坂は、フォアウィナー17本、バックウィナー6本、サービスエース9本を含む33本のウィナーを決めたが、クビトバのウィナーも33本だった。また、ファーストサーブでのポイント獲得率も、大坂が76%、クビトバが71%で最後まで拮抗していた。

 今回の全豪は、まさに大坂の心技体がそろった見事な初優勝だった。

 そのなかでも、今大会全体で印象に残ったのが大坂の攻撃的なリターンだ。相手のセカンドサーブに対して、フォアもバックもベースラインからコートの中へ入って早いタイミングでスピードのあるストロークを打ち返した。

 この『リターンの進化』が、昨季と比べてもっとも伸びた点のひとつで、「ハードコートでは誰にも負けない」という大坂の自信をさらに深めたと言っても過言ではないだろう。特に、対トップ10プレーヤーとの対戦となった準決勝や決勝でのフルセット試合では、大坂の終始攻撃的なリターンが勝利を引き寄せた。

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