気になるタイムリミット。錦織圭は悲願達成へ「執念」を見せられるか (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 復活を果たした錦織の周りの状況も刻々と変化をしている。2018年2月に右ひじの手術をして、一時は「もう終わった」とささやかれたジョコビッチがV字回復をして、ウィンブルドンとUSオープンを制し、さらに年間ナンバーワンの座を奪還した。完全復活を遂げた31歳のベテランは、来季も錦織にとって大きな壁になるだろう。

 一方で、21歳のアレクサンダー・ズベレフ(4位、ドイツ)が、ツアー最終戦のATPファイナズで初優勝してビッグタイトルをつかみ、決勝ではジョコビッチを破って、若手の台頭を強く印象づけた。

 このように新旧入り混じった厳しい競争の中を、錦織は勝ち抜いていかなければならない。さらに錦織は、19歳のデニス・シャポバロフ(27位、カナダ)や18歳のフェリックス・オジェアリアシム(109位、カナダ)ら10代の選手たちも警戒している。

「彼ら(ジョコビッチやズベレフ)はもちろんそうですけど、さらに若い世代がどんどん上がって来ている。若くなくても、さらにトップ50ぐらいは、すごく層が厚くなっているのを感じる。本当に簡単な試合はなくなってきていると思うし、自分自身もより強く、メンタル的にも強くなりたいです。さらに強くならないとトップは取れないのかなと思います」

 錦織は、「2019年は、マスターズ(以下MS)やGSでの優勝が目標」と語るが、大会グレードの順番でいうと、MS1000での初優勝が先になるべきなのだが、彼の年齢を踏まえるとそんな悠長なことも言っていられない。

 過去には、MSより先にGSで優勝した選手がいる。例えば、レイトン・ヒューイット(オーストラリア)は、2001年USオープン初優勝、2002年MS・インディアンウェルズ大会初優勝。フアン・マルティン・デル・ポトロ(5位、アルゼンチン)は、2009年USオープン初優勝、2018年MS1000・インディアンウェルズ大会初優勝(MS1000と言われるようになったのは2009年から)。

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