気になるタイムリミット。錦織圭は悲願達成へ「執念」を見せられるか (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 2018年に錦織は、右手首のケガから復帰シーズンだったにもかかわらず、ATPランキング9位でフィニッシュして、見事世界のトップ10に返り咲いた。

「今年トップ10まで戻って来られて、これはすごく大きな意味が自分の中ではあったのかなと思っています。20位、30位で終わる可能性も十分ありましたし、ロンドン(ATPファイナルズ)に出られたということも大きな自信になった。十分過ぎる1年をバネにさらに来年はまたトップ争いをできる位置にいられるようにしたいと思います」

 こう錦織が語るように、再び世界のトップを見据えることができる位置に戻ってこられたことは大きい。上位シードを獲得して、GSでの優勝戦線に加わる目算もしやすくなる。とはいっても、29歳前後でのGS初優勝となると、男子の事例は極端に少ない。

 最近では、2014年オーストラリアンオープンで、スタン・ワウリンカ(66位、スイス)が、28歳10カ月でGS初制覇をした例がある。ワウリンカは、スイスでフェデラーに次ぐ2番目の選手として、どちらかいうと地味な存在だったが、遅咲きのチャンピオンとして一気にブレークして以降、2015年ローランギャロス、2016年USオープンでも優勝して、30代になってもGSで優勝できることを体現した。

 また、1990年ローランギャロスでは、アンドレス・ゴメス(エクアドル)が30歳でGS初優勝した例もあるが、いずれにしても、29歳前後でのGS初優勝はレアなケースであり、決して簡単なことではない。

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