「自信になる」。錦織圭、フェデラーに
勝利して初タイトルへ弾み

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 第2セットでは、第1ゲームでいきなり錦織がブレークを許すが、第2ゲームですぐにブレークバック。「先に得たリードを残念ながらキープできなかった」とフェデラーは悔やみ、少しずつラリーが増える中で、錦織が徐々にプレーのリズムをつかんでいった。

「タイブレークを取れたことと、本当に少ないチャンスを第2セットで取れたことが大きかったのかなと思います」

 結局、錦織が7-6(4)、6-3でフェデラーを破り、初戦を制して幸先のいいスタートを切った。

 もともとフェデラーは超攻撃的プレーヤーのため、ウィナーも多いがミスも多い。この試合でも、19本のウィナーを決めながら、ミスが34本と、さすがにミスが多過ぎた。一方、ウィナーこそ6本だったが、ミスを22本にとどめて勝利を手にした錦織は、フェデラーのプレーに対して心がけていることがあった。

「先手を取らないといけない場面もありますし、じっくりプレーしないといけない場面もある。とくに、(自分のボールが)浅くなってしまうと、(フェデラーは)誰よりも展開を早くプレーできる選手なので、ボールの深さを一番大事にしないといけない。攻められないためにも、自分が攻撃の展開をつくるためにも」

 ジュニア時代から、錦織がもっともリスペクトする選手はフェデラーだ。だが、「今は勝たないといけない相手でもあるし、今日は勝たないといけない試合でもあった」と肝に銘じて、錦織はフェデラーとの10度目の対決を制した。

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