強さが隠していた疲労のピーク。次の頂点へ大坂なおみには休息が必要 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 さらに彼女は、苦味と多少の安堵も交じる笑みを浮かべて、こうも言った。

「人生で、こんなに疲れたと感じたことはなかった」......と。

 脇目を振ることを恐れるかのようにこの1ヵ月を全力で駆け抜けた大坂は、東レPPOの翌週に出場予定だった中国・武漢の大会を、ウイルス性疾患のために欠場することを発表した。

 まずは何より欲した休息をとり、心と身体に刻まれた種々の記憶を統合し、それらを経験へと昇華した後に、彼女は次なるスタートラインに立つのだろう。

 今の彼女が「今季の最大の目標」として見定めるのは、年間レース上位8名が集う、シンガポール開催のWTAツアー最終戦だ。そこは、3年前に「ライジングスター」として招待されたエキシビション大会で、頂点に立った思い出の地。

 そして、本戦の華やかなステージに目を奪われながら、「いつか私も、このような舞台に立ちたい」と未来の自分の姿を映した、今に連なるひとつのスタート地点である。

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