松岡修造も認める自信家・西岡良仁。
「乃木坂」も経てケガから復帰

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 現時点での世界ランキングは170位。復帰からここまでの9ヵ月間の足跡を、彼は「悪くないスピードだと思っています」と総括した。

 ケガから復帰した多くの選手がそうであるように、西岡も復帰間もない今年2月ごろは、身体や脳に染みついたいいときのイメージと、実際の身体の動きが重ならぬもどかしさを味わうことになる。170cmの小柄な身体で2mに迫る強豪に立ち向かう彼の武器は、何にも増してフットワークだ。その足が使えない悔しさは、不安や焦りにもつながった。

 それでも彼は、今自分に必要なことは何かを分析し、「反射系のトレーニングを多く入れる」「常にケアトレーナーを帯同する」「練習や試合中に必要な水分摂取量を割り出す」など、適切な対処を重ねていく。その成果として得た7連勝でのチャレンジャー優勝を西岡は、「復帰後、一番自信になる」収穫だと言った。

 シーズンも残すところ3ヵ月となった今、西岡が目指すのは「来年1月の全豪オープンの本戦に入るまでランキングを上げること」。それは、年内に100位を切ることを意味する。その目的地を明確に見据えるからこそ、この先はアジア開催のチャレンジャー大会を転戦してポイントを稼ぐ、いわば"ドサ回り"的な道を歩むつもりだ。

「アジアのチャレンジャーは、施設や食事の衛生面で不安はありますが、そのなかでも勝たなくてはいけない。そういうところで勝ち切り、ランキングを戻せるかというチャレンジでもあります。

 テニスは戻っているので、チャレンジャーでは勝てるのではと思います。ここからはぶっ通しで戦って、勝てるだけ勝ちたい」

 負けん気の強さを放つ口調で、彼はそう明言した。

 西岡を小学生時代から知る松岡修造氏は、彼のことを「子どものころから『絶対に自分はトップに行ける』という自信を持っていた」と評したことがある。

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