初Vへ辿り着けなかった何かの答え。それでも強い錦織圭は帰ってきた (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 さらに、錦織がシーズン後半の目標にしている、年間成績上位8人しか出場できない男子ツアー最終戦・ATPファイナルズへの出場にも望みをつないだ。ファイナルズの出場争いである「Race to London」で錦織は、10位前後に上がる予定で出場圏内を視野に収めた。

 シーズン終盤で好成績を収めることができれば、2年ぶりの出場権を獲得できるかもしれない。

「(昨年はプレーできなかった)ニューヨークに来られて、再び準決勝まで進めて本当にうれしいです。いいテニスで、この2週間やりきれたとは思います」

 錦織のテニスのレベルは、ここに来て確実に上がっており、少なくともケガさえなければ、来季のグランドスラムで優勝争いに加わることができるだろう。それをこのUSオープンの戦いの中で証明して見せた。

 もちろん彼の悲願であるグランドスラム初優勝を成し遂げるためには、まだまだ課題はある。

 だが、強い錦織圭が戻って来たことは間違いない――。

 日本男子として、初めてグランドスラムで優勝できるかもしれないというワクワク感を抱かせるような存在として、再び燦然(さんぜん)とした輝きを放ち始めている。

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