錦織圭が思わぬ勝利に複雑な心境も、失っていたショットは取り戻す (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 楽しみながら全力を出しきったプレーできれば、たとえ今回がダメでも次回につながるはずだと錦織は考えている。そして、つかみ取るチャンスが来た時にタイミングを逃さないよう、思い切ったプレーを心掛けている。

 錦織が優れた選手であっても、やはり人間であり、常にポジティブで強い気持ちでいることは決して容易なことではない。

「言葉(で言うの)は簡単ですけど、なかなかコート上でできないので、自分に強く言い聞かせることが今は大事なのかなと思っています。特に、裏技とかがあるわけではないので、徐々に、自分のいい形を作っていきたい」

 3回戦で、錦織は第13シードのディエゴ・シュワルツマン(13位、アルゼンチン)と対戦する。シュワルツマンの身長は170cmで、178cmの錦織より小柄だが、俊敏なフットワークを活かして、自在にグランドストロークを打ち分け、簡単に勝負をあきらめない屈強なメンタルの持ち主だ。どこか錦織とタイプの似た選手とも言える。

「シュワルツマンは、タイミング早くプレーできて、1つのショットの力(だけ)では来ない選手。うまいなといつも見ていて思う。自分がどうにかしないと倒れてくれない」

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