錦織圭が思わぬ勝利に複雑な心境も、
失っていたショットは取り戻す

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

「2セット目は彼の流れになっていましたけど、そこを(自分が)打開しつつあったので、もうちょっとやりたかったのはありますね。あれからまた彼が巻き返して来ていたのか、自分が第1セットのようなプレーができたのか、挑戦したいところだった」

 こう振り返った錦織は、フォアハンドとバックハンドともに5本ずつのウィナーを含む合計18本を打ち込み、モンフィスから26本のミスを引き出した。ツアー屈指の身体能力の持ち主で、アクロバティックなプレーで観客をわかせるモンフィスとプレーをして、「ストロークにやっと不安がなくなってきました」と手ごたえを得ることができた。

 右手首のケガから復活してきた錦織は、トップ10復帰への道は決して簡単ではないとわかりつつも、テニスを楽しめればと口にすることがしばしばある。

「楽しんで思いきりやりたいですね。この場所にいられることも、いろんな人に感謝してプレーしないといけない。楽しんでやるのが一番だと思う。どれだけ楽しめるかは、自分の調子にもよりますけどね」

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