錦織圭、打つのをやめる「悪い癖」が発症。全米OPまでに修正可能か (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

「感覚の問題がありますし、まだまだ試合のなかで100点のテニスができていないのは事実」と認めた彼は、さらにこうも続けた。

「相手もよかったけど、自分の感覚がどんどん悪くなっていったので、そっちのほうが大きいと思います」

 シンシナティで敗れた後の錦織がもうひとつ、繰り返し口にした言葉に「練習」がある。

 実戦でしか得られぬ自信を求めた彼にとって、8月26日開幕の全米オープン前に6試合しかできなかった事実は、物足りなさと多少の不安を残しはした。だが、本人も最大の修正点として挙げるショットの感覚は、むしろ練習でこそ取り戻せるものだろう。

「直さなくてはいけないところは増えてきているので、しっかり練習したい」と本人も、全米までの1週間がいかに重要かを説いた。

 20歳前後の新世代が徐々に頭角を現す一方で、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)やワウリンカら、自身と同時期にケガで戦線離脱したベテランたちが完全復活の兆しを見せ始めたシーズン後半戦。だが錦織は周囲の動向ではなく、あくまで自分がすべきことのみに心を砕く。

「あんまり他の選手と比べる余裕はないので。なるべく早く、自分がいいテニスを戻せるようにしたいという気持ちだけです。ガムシャラにがんばってはいますが、なかなかプレーがまだ追いついてきてないので......」

 そう厳しい現状と向き合う彼は、「いつかどこかのタイミングで来ると思うので、それまで必死にやるしかないですね」と、進む先に必ずあるであろう、プレーと心の交錯点に目を向けた。

 敗戦の翌日には拠点のフロリダへと戻った錦織は、チャンコーチら「チーム圭」の面々が集結するなか、実戦のコートから持ち帰った課題の克服に取り組むのだろう。

 そうして進路を取る先は、今季最後のグランドスラムが待つニューヨーク。4年前にワウリンカやジョコビッチを破り、決勝の大舞台へと疾走した、喧騒と絢爛(けんらん)と、そして思い出の街である。

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