穂積絵莉は全米よりアジア大会を優先。
「東京へのチャンスを取ります」

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

――全仏の自己分析を教えてください。2017年全豪女子ダブルスベスト4のときとは何が違ったのでしょう?

穂積 全豪の時は勢いと、本当に調子がよかったけれど、自分の中ではたまたまというか、ベスト4に進んじゃったという感覚があったんです。でも全仏は、1個1個ちゃんと勝っていった感じがあって、試合の中で、いい時と悪い時の波がお互いにあっても、ちゃんと2人で持ち直せたんです。

――以前は、穂積選手が前衛、二宮選手が後衛の時が弱点でしたが、今回はこの陣形でもポイントに結びつけられるようになりました。

穂積 それは大きかったですね。真琴のロブは、以前組んだ時から武器としてあって、サーブが真琴の変化としては大きかったと思います。前は真琴のダブルフォールトが多くて、大事なところでサーブがあんまり入らなかったんですけど、全仏の時は安定していた。2人合わせて、ファーストサーブの確率が70~75%で高かったので、それが大きかったと思います。

――最近では少なくなったオーストラリアンフォーメーション(サーバーと味方前衛が、同じサイドにいる変則フォーメーション)もうまく活用しましたよね。

穂積 私も真琴もフォアがいいので、フォアで打っていきたいという狙いがありました。例えば、アドサイド(コートの左サイド)から真琴がサーブを打つ時、私が前衛でそんなに動けるタイプではないので、真琴がバッククロスのラリーだと相手に押されてしまうことがある。ラリーが長くなってしまうんだったら、真琴は、フォアの方が威力があるし安定もしているので、オーストラリアンフォーメーションを使ったわけです。

――決勝を振り返ってください。(3-6、3-6 クレチコバ/シニアコバ)

穂積 相手ペアのスローなペースにつき合ってしまいました。私も、今までよりクオリティが落ちたり、真琴もゲームの最初でボレーミスが出てしまったり。私が、サーブを打つ時のゲームは落としてはいけないというのがあったので、序盤でブレークされてダメージが大きかったですね。

――母・盛子さんが決勝に急遽駆けつけました。自分のプレーを、グランドスラムのセンターコートで見せられましたね。

穂積 ウィッシュリストというのを、スマホに28個書き出しているんです。その中に、「お母さんをセンターコートに招待してプレーを見せる」というのがあって、それを叶えられてすごくうれしかったです。

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