大坂なおみ、ケガは問題なし。ウインブルドンを支配する準備はできた (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 大坂は数週間前に芝のコートに立ったとき、「まだ不安があるし、自信を持てていなかった」と告白した。特にもっとも苦しめられるのが、フットワーク。「方向転換するときなどに必要な細かいステップを体得すること」が当面の最大の課題だという。

 ただ同時に、芝こそが自分の武器をもっとも活かせるコートだという、予感めいた感触もある。バウンド後の球筋が低く速いこのコートでは、ラリーが続きにくく、一発の強打を持つ選手が試合を支配する事態も起きやすい。

「芝は、サーブがよく、パワーのある選手に向いている。それらふたつは私の武器でもあるのだから、自信を持ってプレーするようにしている」

 バーミンガムの棄権後にそう語った大坂は、「今日の試合も、いつものようなサーブが打てれば私が勝っていたと思う」と、ことさら悔いるふうでもなくサラリと言った。

 大坂がそのように自信を抱くに至った背景には、コーチをはじめ、経験豊富なチームスタッフたちの存在もあるようだ。今季の芝シーズンを迎えるにあたっても、コーチのサーシャ・バジンをはじめとする周囲の人々から、「芝は君に向いている。自信を持て」と心に刷り込まれたという。

 また、女王セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)の鋼(はがね)の肉体を鍛え上げたストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ、アブドゥル・シラーが帯同することも、欧州での長期遠征では大きな利点だ。なにしろ、使うほどに摩耗してしまう天然芝では、選手といえども使用が限られ、練習を許されるのは通常1時間。それ以外の時間をいかに有効活用するかとなったときこそ、経験豊富なトレーナーの腕の見せどころだ。

 現在、欧州長期遠征中の「チームなおみ」は、コーチ、S&Cコーチ、そしてアスレティックトレーナーにより構成されている。その体制について大坂は、「スタッフはそれぞれ経験があり、話し合いのたびに、みんな自分の意見をはっきり言ってくれる。それがいい点」だと言った。

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