錦織圭、トップ10復帰へ「グランドスラム4回戦の壁」をブチ壊せ! (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 第3セットからは、「もう少しじっくりプレーするように心がけた」と錦織は、なるべくミスを減らそうとしてベースライン後方3~4mからリターンをしたり、がまん強くラリーを続けたりした。お互いサービスキープが続いたが、第12ゲームで錦織は30-40とし、初めてつかんだブレークポイントがセットポイントとなり、このワンチャンスを活かして第3セットをもぎ取った。

 だが、第4セットに入ると再びティームが、トップスピンのかかった深いフォアハンドストロークでゲームを支配し始める。第7ゲーム30-40の場面では、錦織の時速119kmのセカンドサーブに対し、ティームが回り込んで、逆クロスへのフォアハンドリターンをコーナーに決めブレーク。錦織は悔しさのあまり、ラケットを思いきりコートに叩きつけた。

「後半にチャンスがあった分、やっぱり悔しいですね。最初の2セットは結構珍しい落とし方をしたので、ちゃんとやれば、ちゃんと調子が戻ってくれば、大丈夫だと言い聞かせてやっていました。けど、4セット目ももうひと踏ん張りだったので......」

 錦織からの初勝利を手にすると同時に、3年連続のベスト8入りを決めたティームは、フォアハンドストロークの17本を含む41本のウィナーを打ち込んだ。一方、錦織はブレークポイントを結局1回しか奪えず、フォアハンドストロークのウィナーは6本だけで合計で21本のウィナーにとどまった。

 この4回戦はもっと拮抗した勝負になるかと思われたが、錦織はクレーを最も得意とするティームに力負けし、トップ10選手に現時点のランキングどおりの実力差を見せつけられた格好になった。

 だが、「このクレーシーズンで、だいぶテニスは戻ってきました」と錦織自身が語るように、ローランギャロスでの3回戦までの試合や会場での練習で、錦織は実際にいいボールを打てていた。特に最大の武器であるフォアハンドストロークは、スイングがシャープで、ボールの回転もしっかりかかり、バウンドしてから伸びもあった。だからこそ、錦織も自分自身に期待をしていたのだ。

 自分の思うようなボールが打てたり、狙い通りのところに落とせたり、感覚が戻りつつあった。特に3回戦ではそういうシーンが顕著に見られた。

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