錦織圭がグランドスラム復帰、
全仏4強までをシミュレーションしてみた

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 また、錦織はモンテカルロ準々決勝でマリン・チリッチ(3位、大会時、クロアチア)に、続く準決勝でアレクサンダー・ズベレフ(4位、大会時、ドイツ)に勝った。さらにローマの2回戦ではグリゴール・ディミトロフ(4位、大会時、ブルガリア)を破ってみせた。すでに今季クレーシーズンで、トップ5の選手を3人破って、本来の錦織らしい勝負強さも取り戻したことは、ローランギャロス(全仏)への準備として大いに好材料となる。

「それが一番自信になったと思います。モンテカルロで決勝に行けたことは一番自信になりました。この前はディミに勝ったりと、トップ10選手に勝てるということが一番の自信にはなるので、またこのレベルに戻ってこれたな、という実感ができた一戦だった。

 試合数をもうちょっとこなして、マドリードとかローマで、本当はもっと上に行きたかったです。行っていれば、もっと自信がついたと思います。いい結果が出ているので(ローランギャロスで)自信を持っていきたいですね」

 錦織がグランドスラムに出場するのは、昨年のウインブルドン以来となる。久しぶりとなる5セットマッチを、このローランギャロスで戦うことになるが、体力面で一抹の不安を抱いていることを吐露する。

「心配なのは、5セット(マッチ)が久しぶりなので。5セットが2日続いちゃったり、自然と長い試合も多くなったりすると、手首だったり、体だったり、久しぶりの5セットに耐えられるかという不安はひとつだけあります」

 今回の全仏で錦織は第19シードになり、大会ドローのボトムハーフに入った。1回戦の対戦相手は、ワイルドカードで出場のマキシム・ジャンビエ(304位・フランス)に決まり、初対決となる。その21歳の選手を錦織は見たことも聞いたこともなかった。驚いたことに、会見時に初めて1回戦の相手を知ったということだ(会見の前日にドロー抽選があった)。

「今、聞いたし......」と錦織は笑ったが、「聞いたことがないので、調べないと。珍しいですね。顔も名前も出てこない。試合をしながらの感じになっていくと思います」と気を引き締めた。

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