復活・錦織vsジョコビッチ「他の選手とは違った感情になる」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 それに加え、「自分が速いタイミングで打っていけたので、相手が(スピンを)打てなかったのもあると思います」。

 結果として相手の倍近いポイントを獲得し、「ほぼ完璧に近いプレー」で3回戦を突破した。

 おそらくは復帰後もっとも安定したプレーを見せた錦織が、次に対戦するのは元世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)である。ひじのケガから復帰してきた彼もまた、今季序盤は苦しい試合を強いられていたが、今大会では3試合ともにストレート勝利。3回戦では「この12ヵ月間でベスト3に入る試合」と自画自賛のパフォーマンスを見せ、往時の強さを取り戻しつつある。

 錦織とジョコビッチは先週のマドリード・マスターズでも初戦で当たり、そのときはジョコビッチが勝利している。2週連続ながら高いステージでの再戦に、元王者は「準々決勝で当たるほうが、肌に馴染んだ感覚だよ」と笑い、「前回はタフな試合だった。今回も厳しい試合になるだろう」と予測した。

「圭は、この大会が得意だ。今大会でもディミトロフを破り、今日も簡単に勝っている。彼の状態もよさそうだ。以前のレベルに戻ってきている」

 だから......と、ジョコビッチは続けた。

「明日の試合は僕ら両方にとって、今の自分のレベルを測る格好の一戦になるはずだ」

 対する錦織は、ジョコビッチとネットを挟むと、「まだ若干、苦手意識があるというか......試合前は、他の選手とは違った感情になる」ことを否定しない。

「彼とやるときは、かなりパターンが決まっている。弱いところを突かれている気もするし、そういうことができる選手。自分(錦織)のこともけっこうわかっている」

 それがジョコビッチであり、前回の対戦時も「やはり強かった。かなり高いレベルで確実にトップ10にいるテニスをしている」ことを痛感させられた。

 だからこそ、その苦手意識を振り落とす勝利を掴まなくてはならないと、錦織は強く自覚している。

「ま、いつか......」

 そう口にしてから、彼は思い直したように続けた。

「できれば明日、打開したいです」

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