錦織を抜いて...。ビッグ4の牙城に迫るテニス新世代に「旧ソ連」の影 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「母のレッスンはものすごく厳格だった。基礎を大切にし、反復練習を何度も行なう。1分たりとも時間を無駄にすることを嫌い、『練習の1球目から集中するように』と母から言われてきた」

 そのような練習法は「母親自身がソ連で教わってきたことだと思う」と、シャポバロフはあどけなさの残る笑顔で言った。

 両親をコーチに持つズベレフも幼少期、主に指導を受けたのは母親だったという。弱点の少ないプレースタイルのズベレフは、その高い技術は「母親譲り」だと明かした。

「僕の技術レベルはけっこう高いと思うけれど、それは母親が若いころに基礎を叩き込んでくれたから。特に僕のバックハンドは100%、母親の作品なんだ」

 その母親は「サーシャ(ズベレフのファーストネーム「アレクサンダー」のニックネーム)に教えるのは簡単なことではなかったわ」とこぼしたが、家族がどんなに仕事や試合で疲れていても、幼いサーシャは母や兄に「テニスをやろう」とせがんだという。テニス一家に育ちながら、決して周囲から強制されたとは感じずに「テニスが大好き!」と屈託なく話すのも、彼らに共通する特徴だ。

 アレクサンダーの兄のミーシャ・ズベレフは、10歳年少の弟たちを「自然体な新人類」だと表した。物心がついたときからテニスを日常の一部として育ち、水を飲むようにボールを追ってきた彼ら新人類は、テニス関係者たちが"一大事"として捉える世代交代をも、おそらくはごく自然体で成し遂げていくのだろう。

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