大坂なおみ、ついに憧れのセリーナ戦へ。新たな時代の扉は開かれるか (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 そのふたりの家からほど近く、大坂も「子どものころからよく観に来ていた」マイアミ大会が、まるで天の配剤のように、ふたりの初対戦の舞台に選ばれた。キービスケイン島の会場に宿る大坂のもっとも古い思い出は、「11歳か12歳のときに、セリーナの練習を見たこと」。憧れの選手を間近で見られた興奮と、「サインをねだることはできなかった」小さな悔いが、潮風に乗って交じり漂う地だ。

 数日前にBNPパリバオープンで優勝したとき、落ち着きはらった表情の大坂は「あまり優勝した実感がなくて......まだ明日も試合があるような感じ」だと言った。ひとつの結果に一喜一憂することなく、優勝すらも淡々と受け止め次の試合に目を向けてきた彼女は、その「次」がセリーナ戦だと知り、どんな思いを抱いただろうか?

 ひとつ確かなのは、今の大坂は、セリーナから先のドローには目もくれていないということだ。BNPパリバオープンで、初戦の相手がシャラポワだと知ったときもそうだった。だからこそ彼女は、シャラポワ戦後も目の前の試合のみに集中し続け、そしてその姿勢こそが彼女を頂点に導いたひとつの要因でもあっただろう。

 セリーナとの戦いは、今や大坂本人のみならず、世界のテニスファンや関係者すべてが心待ちにする、時代の節目で実現した新旧対決だ。

 その注目の一戦で大坂がセリーナを破ったとき、女子テニス界の新たな時代の扉が本当に開かれるかもしれない。

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