恐るべき美女ペア誕生。加藤未唯&二宮真琴「うちら、ラスボスやから」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文・撮影 text & photo by Uchida Akatsuki

 その加藤・二宮組に、ついにチームの命運をかけた試合を戦うときが訪れる。それが、決勝のカザフスタン戦。シングルスで先鋒役を務める奈良くるみが相手エースのザリナ・ディアスを破るも、続くシングルス2試合目では日比野菜緒がユリア・プチンツェワに敗れる。

 そして、カザフスタンがダブルスに送り込んだのは、チーム2枚看板のディアスとプチンツェワ。このペアは今大会、これまでひとつのセットも落とさぬ盤石の強さを示していた。

 最終決戦に挑む直前、日本チームのベンチでは、監督の土橋登志久がダブルスのふたりに檄(げき)を飛ばした。

「このときのために、ふたりを選んだ。過去2年連続で、決勝のダブルスで負けている。だから今回は、積極的に取りにいける選手を選んだ。君たちが最後の砦(とりで)なんだ」

 その言葉を聞いた二宮は、「皆の想いに応えなきゃ」と意気に感じながらも、ますます緊張を深めてしまう。そんなパートナーの心の揺らぎを、加藤は感じ取ったのだろう。

「未唯ちゃん、緊張してる?」

 そう問う二宮に、加藤は「ぜんぜん」とさらりと応じる。

 決戦のコートに向かう直前、「がんばって」と声をかけてくる日比野に、加藤は言った。

「大丈夫、うちら"ラスボス"やから」

 果たして"ラスボス"は、試合立ち上がりから得意とする速い展開でリードを広げ、主導権を掴み取る。第1セットを奪い、第2セットは競りながらも「いつでもブレークできる」という手応えはあった。その思いどおりゲームカウント5-5からブレークすると、最後は二宮が得意のフォアを叩き込み終止符を打つ。代表デビュー戦となる「新生ペア」が最初の全体ミーティング時の宣言どおり、チームに優勝をもたらした。

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