36歳でも強くなるフェデラー。ケガ続出のライバル勢に止められるのか (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 フェデラーは、ビッグサーバーであるチリッチの16本を上回る24本のサービスエースを打ち込み、決勝でのファーストサーブでのポイント獲得率が80%と、最後までサービスの調子が落ちなかった。

 今回の優勝は全豪で最多タイとなる6回目、さらにグランドスラムでは20回目となる。自らが持つ最多メジャー優勝回数の記録を更新したフェデラーは、「もちろん20回に到達したことは、とてもスペシャルだ」と語りながらも、基本的に記録のことは気に留めていない。それよりも表彰式で涙した、あふれんばかりの感動こそが、今のフェデラーの心の中を占め、大切にしていることなのだ。

「実際に自分が触れるすべてにとても意味があり、すごく感動的なものなんだ。チームに感謝し、マリンを祝い、人々や大会に感謝し、最後はひとつのパーティーのようだった」

 さらに、何回もグランドスラムタイトルに挑み続けられるのは、自分をサポートしてくれるコーチたちや、息子のプレーを誇りに思い喜んでくれる両親がいるからだと吐露する。

「彼らが自分をハッピーにしてくれるし、より良いプレーにつながっている」

 そして何よりも妻のミルカさんの存在と手厚いサポートを抜きにしては、今の自分はいないと感謝する。

「今のこの生活は、彼女がノーと言ったら機能しなくなる。自分にはたくさんのパズルが必要で、それらが一緒にフィットするからこそ、今夜ここ(優勝会見の席)に座ることができている」

 フェデラーが快挙を達成する一方で、今大会はケガを再発させたり、復帰の過程で苦しんだりする選手も見られた。

 まず、第1シードのラファエル・ナダル(1位、スペイン)は、チリッチとの準々決勝で、右足腸腰筋のケガをして、完治まで3週間が見込まれている。

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