大坂なおみ、ついに「心技体」が揃う。全豪で3回戦の壁を越えられるか (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 そして、シード選手を乗り越えた先に待つのは、グランドスラムで過去5度も跳ね返された"3回戦の壁"だ。これまでにも彼女は「強い選手に勝った後は、安心して気が抜けることがある」と繰り返してきた。3回戦を突破することは、過去の自分を超える明確な指標となるだろう。

 もちろん当の大坂は、まだそこまで先を見てはいない。「ドローで確認したのは1回戦の相手だけ」と言い、その初戦の行方を左右するのは「自分次第」とも認識している。

「相手のことは、あまり気にしないようにしている。1回戦の勝敗は、私がどれだけ安定したプレーができるかで決まると思うから」

 そう言って浮かべた少々ぎこちない笑みは、期待と不安が複雑に入り交じる胸中を映すようだった。

 3年半前、「どこからともなく、突如現れた」無名の少女は、今や女子テニス界の未来と目されるまでになった。それにともない高まる自分自身への期待は、時にトップ10選手をも打ち破る力を彼女に与え、時に彼女を縛り敗戦へと引きずり込んできた。

 相反する要素を懐(ふところ)のうちに抱え、その相克の熱を活力として疾走する大坂の「真のトッププレーヤーを模索する旅」が、真夏のオーストラリアから始まる。

【全豪オープンテニス】
1/15(月)~28(日)WOWOWにて連日生中継
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