じん帯断裂から復帰する西岡良仁。全豪オープンへ「恐怖心はない」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

―― 恐怖心がないというのは、自分では意外でしたか?

西岡 どうですかね。単純にポイント(試合形式の練習)を始めたら負けたくなかったので、自然とボールを取りたくて走っちゃいました。それで無意識に一回スライディングしたら、できるなって思って怖くもなくなりました。

―― 対戦相手がいて駆け引きも必要になるポイント練習になったとき、試合感覚という意味では違和感はありませんでしたか?

西岡 いや、もう全然ダメでしたね、最初は......。本当に、ボールをどこに打ったらいいか全然わからなくて。

 ラリーはできるんですが、ポイントになったときに......練習でのラリーって、自分の打ちたいところに好きなだけ打てるじゃないですか? でも実戦では、強く打っているだけじゃ意味ないですよね。いろんなボールが来るし、相手と駆け引きしなくてはいけないし。そのときに、ボールの緩急がつけられなくなったんです。緩急がつけられないので、単調になって、どうしたらいいのかわからなくなって......。

―― 相手がいても、最初はクリーンヒットすることに意識が行き過ぎたのでしょうか?

西岡 そうですね。打つことだけを気にしすぎちゃって、逆にポイントを組み立てる感覚がなくて。たとえば相手にいいコースに打たれたとき、以前の自分だったら強引に打ち返さず、まずはニュートラル(五分の状態)に戻そうとしていたと思うんです。でも、そんなときでも無理に決めにいっちゃったり......。ケガする前だったら負けないような学生の子たちにやられたりして......イライラもありましたね。『マジか!?』って。

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