西岡良仁が大ケガのリハビリ中に知った
「テニス以外の大切なこと」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 ケガを負ったときに21歳だった彼は、「今までできなかったことを、いろいろやろう」と自然と思えたという。本を読むこと、料理、テニス中継のゲスト解説、Youtube等を通じて自らテニス選手の声や日常を伝えていくこと......。

 それら多くの試みのなかで「もっとも自分の幅を広げてくれたことは何か?」と問うと、彼は「それ、難しいですね~」としばし黙り込んだ熟考の末に、「多くのアスリートたちとの出会い」を挙げた。

「僕の友だちに、2020年の東京オリンピックに出られそうなアスリートの交流会を定期的に開いてくれている人がいるんです。毎回50~60人のアスリートが集まって、僕も2~3回参加しました。

 この間の会合でも、水泳やバスケットボール、卓球、パラリンピックアスリートたちが集まって、お互いに情報交換しました。そのなかで、テニスが恵まれているんだなと感じるところや、逆に他の競技のほうが恵まれているなと思うところもあって。

 テニスが他の競技よりも恵まれているなと思ったのは、金銭面ですね。他の競技では、日本のトップ5や世界のトップ10に入っている選手たちですら、金銭的に苦労していることを知りました。もちろん、プロとアマチュア選手中心の競技という差もありますが、それでも、これだけ有名な競技でも苦労している、というのは意外でした。

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